マーキュリー船外機SEA PRO10(シープロ10)ギア抜け?クラッチ滑り?とは

クラッチ画像

当店にはSEA PRO10(シープロ10)はありませんが、他店さんから修理の依頼がありましたので、分解してみました。
症状は、中速ほどで前進していても、突然エンジン回転数が上がる。プロペラは回転せず、空吹かし状態。
こうなる原因は2つで、まずはプロペラ(スクリュー)のブッシュが消耗し、スリップしている場合。SEA PRO10のプロペラには、シャーピン(プロップピン)はありません。

ギザギザのスプラインで固定されている為、この部分は破損しない限りはスリップしません。
小馬力の船外機の場合、ピンで固定して、ピンが折れる(犠牲になる)事によって、ペラやシャフトの破損を防ぐ機構になっていますが、SEA PRO10の場合は、ピンの代わりにゴムブッシュが組み込まれており、ペラが何かに当たると、ゴムブッシュが滑り、保護するようになっています。
そして、この「何かに当たる」を繰り返す事により、ブッシュが摩擦ですり減っていくと、エンジンの駆動力をペラに伝えきれず、ズルズル滑るようになります。すると、回転数は上がれど、ペラは回らない、という事態が起こります。

そしてもう一つが、今回のタイトルの通り、ギア抜けです。
ギアというよりも、パーツ名で正確に言うと「クラッチ滑り」か「クラッチ抜け」なのですが、船外機にクラッチは無いと思われている方、クラッチという名称を使わないメーカーもありますので、便宜上ギア抜けとしておきます。

クラッチ画像

赤矢印の部品がクラッチで、バネの力で下に写っているギアや、写真には写っていないですが反対側にあるギアとギザギザがかみ合う事で駆動します。
バイクや車のように、クラッチディスクではないので、半クラや、滑りという概念がありませんので、滑る事があってはいけない部品です。
また、バネの力で押し付けているので、バネの力が弱かったり、クラッチのスライドに問題があると、ギアとかみ合いません。表面上は、クラッチが滑っているように見えたり、感じられたりします。

尚、前進しかしない一部の船外機においては、遠心クラッチを搭載している事があり、そちらは半クラッチやクラッチが滑るというような事も考えられます。

今回は機構や症状の説明をしましたので、次回原因を究明します。

ブログランキング参加中です。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です